20211017

アルバム制作について
2021年10月17日

何気ない一言とか、何ともない光景とかを、何故か鮮明に覚えていたりって、みんな一回くらいはあると思います。
忘れさせないように、それが定期的にフラッシュバックしてくることがあって。
トラウマというわけではないのですが、「あの頃はひどかったなぁ」とか、「よくやってたよなぁ」とか。若かりし時に、縋るように、または反省するように。それが言葉になり、地層となり。
僕はそうやって輝かしいことや、恥ずかしいことを少しずつ思い出しながら、今の自分と対比して生きていたりします。
ちゃんとあの頃よりかはマシに生きているのかって。

今回作ったアルバムは、そんな瞬間的ではあるけれど、鮮明な記憶を集めて収録しました。
昔から自分は体が小さくて、こじんまりとした空間が好きでした。基本的に何に対しても中途半端で消極的な性格でした。
歌うことだけが好きで、それだけを取り柄だと信じて、ひたすらに歌ってきました。
“歌うことが自分の身を助く” と信じ歩き続け、ようやくこの場所に辿り着いたのだと思います。
喜びや感動、暖かさ、悲しみや妬み、切なさ、失敗も挫折も、全て音にしました。

ネガティブな言い回しもありますが、あえてそれを口に出すことでポジティブに変えたいという思いから、ありのままの気持ちを歌詞に込めて。
時には景色と織り交ぜたり、時には比喩を加えてみたり、僕らしい表現で伝えてみました。

これまでにデモ音源は発表して来ましたが、きちんとしたCDを作るという作業は今回が初めてであり、やり遂げられるのか不安だらけでした。
でも、自分にとって大きなことを成し遂げたと感じています。満足のいくものが世に出せてよかったです。一歩を踏み出すのは勇気がいります。でも踏み出してみると、思ったより足取りは軽く、思ったより素敵な自分に出会えたりもします。
僕らしい表現や歌い方、メロディを余すことなく詰めた作品、隅の隅まで堪能していただければ、と思います。

歌うことで出会えた人たちから得たものを体現した作品となりました。

高杉尊